悔しい。憎い。
学校の連中、親……この世界そのものが。


身体が震える。
こいつの前でなんて泣きたくないのに。
ちぎれてしまいそうなぐらい強く下唇を噛み締めて涙を堪えようとしても、それは次から次へと溢れ出てきた。



「なんだよ、それ……なんで九年も我慢したんだよ……声を上げて助けを求める事も出来ただろ……?」



金髪男は眉を顰め、傷付いたような表情を見せる。声は震えていた。


少なからず、私の話を聞いて同情してくれてるんだろう。

だけど、そんな安っぽい同情なんていらないんだよ……



「経験したことのない人はそうやって簡単に言うよ。でもね、当事者にとってはそんな簡単なことじゃない。先生に虐められたって言えば虐めはもっとエスカレートする。母親から逃げたって行政は何もしてくれない。母親が仮面を被って良い母親を演じてすぐに迎えに来れば、ただの親子喧嘩だって思われて帰らされるだけ。その後どうなるかわかる?真冬の寒空の下、下着一枚でベランダに出されて一晩を過ごすんだよ……」