広場に怒号が響く。
あれだけ賑わっていた広場が一瞬シーンと静まり返った。何事かと近くにいた人が好奇な目を向けてくる。
すぐに取り戻す喧騒の中、私は身体の奥深くからわなわなと今まで感じたこともない得体の知れない物が沸き起こってきて拳をきつく握った。
「……あんたに私の何がわかんのよ」
酷く低い私の声に、金髪男は「サチ?」と眉を寄せる。そんな金髪男をキッと睨みつけた。
「あんたに一体私の何がわかんのよっ‼︎親に見放されて、学校でも一人で……ずっと我慢してきた。お父さんが家を出てった小三の時から、お母さんは変わった。ほとんど家に帰ってこないからご飯は食べれない。たまに帰ってきても酒酒酒!瓶ビールを投げつけられたり、お腹が空いたって泣けば母親が食べ残した残飯を与えられる。光熱費だってろくに払わないから三ヶ月に一回は電気ガス水道が止めらて、冷暖房器具は壊れたまま買い直さないから、冬は薄っぺらい夏布団に包まって過ごした。服だってヨレヨレで小さいし、コートも鞄も髪ゴムさえも一つ二つしかない。私が新聞配達できるようになっても、手渡しの給料は全部持ってかれる。給料を隠したって無駄。そんな日々がもう九年!」
間も置かずに一気に捲し立てる。
周りの目なんて気にならなかった。
この数年で溜まった怒り、憎しみ、悲しみ……膨れに膨れ上がった色んな感情が、金髪男の無神経な発言で限界に達し爆発した。
数年分溜まったその感情は、一度爆発してしまうともう自分では抑えきれない。
それほど大きくて深い。

