シュウが息を引き取ったって聞いて菜摘さんの胸で散々泣いた後、哲二さんは私を本気で怒鳴りつけた。
『どれだけ心配したと思ってるんだ‼︎』
『ごめんなさいっ……』
『帰り辛いとか、馬鹿なこと考えたんだろう?』
『だって…』
『だってもくそもあるか‼︎お前の帰る場所はうちだろう⁉︎どんなに喧嘩したって、どんなに嫌になったって必ず帰って来い‼︎あの家はお前の家なんだから』
そう言って、一筋の涙を流した哲二さんは私を抱き締めてくれた。
シュウとは全然違う広くて硬い腕の中は、凄く安心出来て心地良かった。
「サチホさんっ…!」
哲二さん達と式場の駐車場に向かっていると、パタパタと慌ただしい足音と共に私を呼ぶ声が聞こえて振り返った。
シュウのお母さんが髪を乱しながら駆け寄ってくる姿が目に入る。
哲二さん達に先に車に乗っててもらうよう言うと、私はシュウのお母さんの元へ足を進めた。
「どうされました?」
「呼び止めてしまって、ごめんなさいね。あなたに渡したいものがあって」
お母さんはそう言って、持っていた一冊のノートを差し出した。
「っ‼︎これは……」
そのノートは白い世界で拾ったノートとよく似ている。真新しい普通の大学ノートだ。

