勢い良く起き上がり、ベッドサイドに立っていた菜摘さんの両腕を掴む。
「シュウは……シュウはっ…」
菜摘さんは目を閉じると、睫毛を濡らして首を微かに横に振った。
それが、どういう意味なのか。
わかりたくなかった……
「っ、く……ぅう……」
夢だけど、夢じゃなかった。
シュウは本当に、いなくなってしまったんだ。
「サッちゃん……」
止めどなく涙が溢れる。
菜摘さんは私を強く、強く抱き締めて。
一緒に声を上げて泣いた。
◇◆◇
数日後、シュウの葬式が身内だけで執り行われた。
安らかに眠るシュウの顔は、夢の中で見た最後の時のように幸せそうで。
それを見たら、シュウは人生に悔いはなかったんだと、これで良かったんだと思えた。
「サッちゃん、帰ろうか」
哲二さんがぼけっとしていた私に声を掛ける。
「はい」と微笑むと、哲二さんも微笑みながら頭をぽんっと撫でてくれた。
私が屋上で倒れていた日、携帯の履歴を見た救急隊の人が家に電話したらしい。
電話を受けた哲二さんは、すぐに菜摘さんと病院に駆けつけてくれて、私が目覚めたのは翌日の朝だった。

