「でも、これで良かったんだよ」
「どうして…だって、」
「哲二さんの言う通りだから。俺に付き添う親に負担が掛かる。今までもずっと苦労を掛けてきたから、これからはゆっくり休んでほしいんだ」
「シュウ……」
「病院で一晩延命治療について話し合ってる親を見た時、この人達の子供として産まれて俺は幸せだって初めて思った。あの人達も最後の最後まで俺を助けようと考えてくれてたんだ。俺を本当に深く愛してくれてるのが伝わってきた。ずっとこうやって見守ってくれてたんだって、そう思ったら最後にこの人達に出来る親孝行は一つしかないなって……素直に思えたんだよ」
シュウがそう言って、自分の運命を全て受け入れたように曇りのない笑顔を浮かべた。
途端、シュウの全身の輪郭が白く光った。それは徐々に身体全体を覆い、微かに透き通り始める。
「っ、シュウ!体が……っ‼︎」
「サチ。俺の目、見て」
シュウは慌てふためく私の頬を包み込むと、目が合うように上を向かせる。
潤んだ瞳と視線が絡んで、その時が来たんだと悟った。
「笑って、サチ」
シュウはもう心を決めてるんだ。
それなら最後に私がシュウに出来ること。
それは、笑って見送ることだ。
「シュウの馬鹿」
震える唇から言葉を紡いで、私は今出来る精一杯の笑顔を見せた。
上手く笑えてるのかわからない。
だけど、シュウは満足そうに、今までで一番輝いた笑顔を浮かべた。

