「どうした?」
「今、一瞬シュウの身体が……透けて見えた気がして……」
シュウの腕、胸、肩、お腹、頬をペタペタと触る。だけど、どこも透けてないし、ちゃんと触れる。
気のせいだったのかな……
「……そろそろ時間みたいだ」
「えっ……時間って……」
シュウは切なげに眉を下げて、呟くように言った。
や、やめてよ。
時間だなんて、まるで…まるで、もうシュウに会えないみたいじゃないっ!
シュウが消えちゃうみたいじゃないっ‼︎
「サチ、ありがとう。病室で、俺の代わりに気持ちを皆に伝えてくれて」
「シュウ……聞こえてたの?」
「うん。サチの声、ちゃんと聞こえてた。痛かっただろう…?」
シュウは哲二さんに叩かれた私の頬をそっと撫でる。その目元に涙が浮かんでる事に気付いて、ドクッと胸が痛んだ。
私は溢れそうな涙を堪えながら、小刻みに首を横に振った。
「サチがああやって言ってくれて嬉しかったよ。やっぱりサチは俺の気持ちを一番わかってくれてるんだって思った」
「当たり前だよ。だって、ずっと一緒いたんだもん。数ヶ月だけど、シュウの側でずっとシュウを見てきたんだもん……」
「俺……本当は生きたかった。もっとやりたいことやって。お爺ちゃんになっても、サチと笑い合ってたかった」
シュウの澄んだ瞳から涙が一筋溢れた。
その途端、蓋が開いたように止めどなく流れるシュウの綺麗な涙。
私はその涙を受け止めるように、両頬に手を添えてそれを拭う。

