あの私を蔑むようなキツイ瞳に睨まれると、生きた心地がしない。


心臓がドクドクと早く胸を打つ。
体温がサァーッと引いて、息がデキナイ。



母親はスラッとした白い足を動かして私の目の前まで来ると、「てめぇ、ふざけんなよ」と私の髪の毛をグイッと引っ張った。


地を這うような低い声に思わず「ひぃっ…‼︎」と声を上げる。


鼻先が触れそうなぐらい近い距離まで髪を引っ張られると、ゴクンと唾を飲んだ。



「私の服、ヨレてんじゃねぇかよ」



そう言って、母親は深緑色のスカートをバサッと玄関に投げ捨てた。


ハッとした。
昨日、適当に洗濯機に入れた中にあったやつだ。


いつもは注意するのに、何で昨日は怠ってしまったんだろう。



「あ……ご、ごめんなさ……」


「ごめんで済んだら警察はいらねんだよっ‼︎」



そう怒鳴られた拍子に思いっきり身体を押されて、ドンッと頭を硬いドアに打ち付けた。


頭の奥深くまで痛みが伝わる。
一瞬、気が遠くなるような感覚がした。