キミノカケラ〜群青色の空と君と〜



「サチには大切な家族がいるだろう?おじさんやおばさんがサチを待ってる。あの家で、今も」


「私、哲二さんと言い合っちゃったの。その後少しも目を合わせてくれなかったし、こんな私を待ってるわけない。哲二さん、きっと私のこと呆れてるんだ……だから帰れないよ……」



もし、哲二さんに拒絶されでもしたらと思うと、家に帰るのが怖い。

家族を失う悲しみは、誰よりも知ってる。もうあんな想いはしたくない。



「馬鹿だな、サチは」



そう言って、シュウは私の前髪をさらりと払った。



「呆れてるわけないだろう?哲二さんはサチを本当の娘のように思ってる。可愛くて可愛くて仕方がないんだ。俺なんて、サチを泣かせたら許さないって何度言われたことか。あの目は愛する娘を想う父親の目だった」



「だから安心して帰りな」と、シュウは頭をポンポンと撫でると、「それに」と言葉を続けた。



「本当のお父さんだってサチを愛してる」



今日、病院でお父さんに会った時の事を思い出す。

遠慮がちに私の頭を撫でた大きな手。
エレベーターの閉まる扉に消えた優しい笑顔。

伝わってくる。
今まで離れていた分まで私を大事にしてくれようとしてる。

お父さんの……大きな父親の愛。



「お父さんにまだ連絡してないんだろう?早くしてあげな。お父さん、物凄く喜ぶぞ」



シュウは目を細めてふわりと笑った。

その瞬間、何だか途轍もない不安が脳裏を掠め、私は「待って‼︎」とシュウの両腕をしっかり掴んだ。