心臓が嫌な音を立てる。

菜摘さんの先の言葉を聞くのが怖い。



「先生からの話だと、シュウちゃんが目を覚ます確率は……」



そこで言葉に詰まる菜摘さん。


目にはいっぱいの涙。スカートをギュッと握る皺くちゃな小さな手。


心臓の重苦しい音が頭の中心まで響く。

聞きたくない。だけど、聞かなくちゃいけない。



「な、菜摘さん……何ですか…?菜摘さん……」



その小さな手をギュッと握って揺する。
菜摘さんはもう片方の手で私の手を包むと、はぁ、と辛そうに息をついた。



「シュウちゃんが……もう、目を覚ます確率はほぼ……ないって……」


「シュウが目を、覚まさない……?」



目の前が真っ暗になった。


息が、デキナイ……

クルシイ……ダレカ、タスケテ……



ダレカ、ウソダト、イッテ……




「今は何とか一命を取り留めてる。でも、あとどのぐらい保つかーーー……」



菜摘さんが涙ながらに声を詰まらせながら説明を続けている。


だけど、私の耳にはほとんど入って来なかった。