やがて、「シュウ‼︎」と病室に慌ただしくシュウのご両親が入って来た。
すでにお母さんは涙を流し、お父さんも目にそれを滲ませている。
「どうして…こんなっ……」
お母さんはシュウの手を取ると、両手で包み込むように握り締め頬に寄せた。
お父さんは少し長くなったシュウの前髪を震える手で払うと、露わになった額から頬に掛けてそっと撫でた。
私はその場で深く頭を下げ、静かに病室を出る。
今は家族の時間を大切にしてほしい。
私がいない方がいいだろう。
近くの椅子に座ると、哲二さんと菜摘さんの戻りを待った。
ーーーー…ここは、何処?
真っ白な部屋。霧が掛かったように視界が霞む。先が全く見えない。
私は一人、そこに立ち尽くしたまま辺りを見渡した。
物がない。人の気配もない。
暖かくも寒くもないし、風も匂いもない。
“無”だ。
でも、不思議と怖くはなかった。
何もないところに一人ぼっちなはずなのに、少しも嫌だと感じない。
「誰か、いますか?」
私の声が響く。返事はない。
ここは夢の中?
それとも……天国?
もし、此処が夢の中や天国なら、私の思った通りになるかな……
それなら願いは一つ。
もう一度シュウに会わせて下さい。
シュウの笑った顔を見せて下さい……

