何も言い返して来ないお父さんをチラリと見ると、その横顔は酷く傷付いたように見えた。
噛み締めた唇と閉じた瞼が震え、膝の上で拳を強く握っている。
何よ、傷ついた顔して。
私の方が何倍も、何百倍も苦しくて辛かったんだから……
そんな顔したって、私は……私は……っ。
勢いよく視線を逸らす。
もういい。もう話すことはない。
これ以上話してても、辛くなるだけだ。
もう傷付きたくなんてない。
無言で立ち上がると、シュウの元へ足を進める。
シュウの切なそうな瞳と視線が交わった。
その瞳に“もういいのか?本当に後悔はない?”、そう聞かれてるようで、私はコクンと微かに頷いた。その時。
「………チを……てる」
ボソッと後ろから声が聞こえた気がして半信半疑のまま振り返った。
お父さんはベンチに座り、膝に肘をついたまま両手で組んだ拳を額に当てている。
何か聞こえたような気がしたけど、気のせいだったのかもしれない。
きっと公園で遊ぶ子供の声だったんだろう。
シュウに向き直って、「行こ」と目配せした時。
「父さんはサチを愛してるっ‼︎」
お父さんの悲痛な声と想いがはっきりと聞こえた。
“愛してる”
その言葉に一瞬、体が、呼吸が、心臓が止まった。
それぐらい衝撃的で、何もかもが頭からすっ飛ぶには十分な言葉だった。
「父さんの子供は、この世でたった一人。サチだけだよ」
「……っ、う…そっ」
真っ白な頭で必死に言葉を探して、やっと言葉を紡ぐ。声が震えてしまう。

