「で、でも……ナオちゃんは?」
そうだ。お父さんには新しい家族がいるんだ。
可愛い小さなナオちゃんと産まれたばかりの赤ん坊。そして、愛する奥さんが。
私の入る居場所なんてないじゃないか。
例えその新しい家族が私を受け入れてくれたとしても、また辛い思いをするのは目に見えてる。
「え……ナオちゃん?」
「お父さんには新しい家族がいるじゃない。簡単にそんなこと言わないでよ」
目を見開いて激しく動揺するお父さんに、視線を逸らして冷たく言い放つ。
何で知ってるんだっていう顔してる。
気付かれてないとでも思ってた?
それとも、私がお父さんを許した後でタイミングを見計らって話そうと思ったの?
だけど、全部バレバレなんだから。
今更とぼけたってもう遅いよ。
「ちょっと待て。新しい家族って何のことだ?」
「しらばっくれないで。この前、病院でお父さんに再会した時ナオちゃんがお父さんのことパパって呼んでたじゃない!私、この耳でちゃんと聞いたんだから」
「それはっ、」
「聞き間違いだって言うの?」
お父さんの言葉を遮って言い被せる。
言い訳なんて聞きたくない。
聞いてしまったら、また辛くなる。
「もう一人、産まれたばかりなんでしょう?私と再会して嬉しいとか私のお陰だとか言ってるけど違う!支えてくれた人が他にいるんじゃない」
「サチ!落ち着いて」
「いいよ、別に。今更父親振らなくても。私、もう慣れっこだから。私には本当の親はいない。シュウと哲二さんと菜摘さんがいてくれれば私は幸せだもの」
お父さんが口を挟む隙を与えないように一気に言い放ち、「はぁ」と息をつく。
そうよ。
私にだって、温かい家族がいるんだ。

