完璧に捨てられた。
あんな最低な母親でも私を捨てて出て行かないだけマシか、なんて馬鹿なことを思ったこともあったけど。

やっぱり最低、超最低だ。

私がいなくなってすぐに、これ幸いと姿をくらますなんて非道もいいとこ。

シュウと出会う前にあの女に少しでも苦痛を味合わせようと自殺を考えてみたけど、実際に私が死んだところであの女は悲しみもしなければヤバイとも思わない。

今回みたいに解放されたと喜んで、すぐ男の元へ行っていただろう。
子供がいたんじゃ男も面倒臭くてあの女と結婚しようだなんて思わないだろうけど、子供がいなければ話は違う。

私はまんまとあの女を幸せにしてあげちゃったっていうわけか。


今もなお、クックッと肩を揺らす私を、お父さんは呆然と眺める。

その目が私を哀れな奴だと見てるように感じて、ピタッと笑いを止めた。



「サ、サチ……?」



突然動きを止めた私に動揺を隠せないお父さんに、自分でも驚くぐらい冷静に「ねぇ」と問いかける。



「どうして私を産んだの?」


「は……?」



鳩が豆鉄砲を食らったように目をぱちくりさせるお父さん。

話に脈絡がなさ過ぎて、唐突な質問に驚くのも無理はない。