私は待合所で、シュウの検診が終わるのをただジッと待っていた。


かれこれ三十分は経ってる。
色々な検査をするから時間が掛かるってわかってるけど、何か問題があったんじゃないかと心配になってしまう。


とりあえず、気分転換に何か飲み物でも飲もうかな。


待合所を出て閑散とした廊下にある自販機でコーヒーを買っていると、ポフッと下半身に軽い衝撃が走った。

すぐに下を見ると、四、五歳ぐらいのポニーテールの女の子が私のすぐ側で尻餅をついていた。



「大丈夫?痛いところない?」



すぐにしゃがんで女の子を起こす。

女の子は泣くのを我慢しているのか、赤く潤んだ目をしながら唇を噛み締めてコクコクと頷いた。



「怪我してなくて良かった。泣かないで偉いね」


「ナオ、お姉ちゃんになったんだもん。だから泣かないもん」


「そっかぁ。お姉ちゃんになったんだ」



震える声で言うナオちゃんが可愛くて頭を撫でる。


ああ、なんて可愛いんだろう。
頬はマシュマロみたいに真っ白くて柔らかそうで、目は真ん丸く澄んでいて、猫っ毛のやや茶色い髪は滑らかだ。

何て言っても、泣くのを我慢してぷるぷる震える姿は母性本能を擽る。



「お母さんかお父さんと来てるの?」



周りを見渡してもそれらしき人はいない。