次の日からまた平穏な日々が続いた。

この何でもない普通の日々が幸せに感じる。こんな日常がずっと続けばいいのにと思った。


シュウのご両親が来てから数週間後、シュウのお母さんから手紙が届いた。

そこには、“頑張りなさい。応援しています”と書かれていて、お母さんの中にあった葛藤は感じなかった。
その代わり、シュウへの愛情を感じた。


それで終わりじゃない。
驚く事に私宛にも手紙が入っていて、これまでの言動の謝罪と私に対しても心から応援してるという旨が書かれていた。

嬉しくて、私は思わずその手紙を抱き締めて目を潤ませた。




年が明け、世間の新年のお祝いムードもやっと無くなりかけた一月下旬のある日。



「さっちゃん!シュウちゃんがっ……‼︎」



菜摘さんが真っ青な顔で私の部屋のドアを思いっきり開けた。

いつもおっとりした菜摘さんの珍しく慌てた様子に、嫌な予感が頭を掠める。



「シュウがどうしたんですか⁉︎」


「職場で倒れたって…これから医院に運ばれて来るわ」



目の前が真っ白になった。

シュウが、倒れた……?
私はシュウと出会ってからの約三ヶ月、一度もシュウが体調を悪くしたのを見たことがない。

だから心臓病とは言っても、シュウの言う通りそこまで大したことはないんじゃないかと思う事もあったのは確かだ。


今回の病状はまだわからない。
でも、倒れたと聞くと一気に不安が押し寄せてくる。



その後、すぐに哲二さんの病院に運ばれてきたシュウ。
顔色を真っ青にして気を失っていて、そんなシュウの姿に全身から血の気がサッと引いた。

まさか、心臓の病気が悪化したの?