夕闇のなか鞄から鍵を出し、新居のドアノブに差し込む。カチャ、と軽快な音を立てて鍵が開き、ドアを開けると、何か違和感がある。 なんだろう。 …………気がついた。知らない靴があるのだ。 いや、厳密に言えば知らないというわけではない。見れば見るほど、あの旅館の玄関にあった――弟のものに似ている。