全部シカト。





喋る時は私じゃなく、後ろの女の子。






嫉妬じゃないけど、正直寂しかった…。






結局あの日は私が散々謝ったんだよね。






そしたらやっと。許してくれたっけ。





だからそんな思い、もうしたくない。





「…いつもうるさい人が、急に静かになったら、心配するんだから…」





私は目線を下に向けて言う。





なんて素直じゃないんだろうって、自分でも思うよ。





…でも、これは本当だから。





「じゃあ答えはイエスだな??」





冬はニコッと笑って言う。





「…分かったよ」





まあいっか!!





誰もいないこの教室だし。






そもそもこの教室付近の廊下には誰も来ないし。





「お前嬉しそうだな」





「なっ!!」





ち、違うし!!それ勘違いー!!






「早くしろ」





「…はあい」





私は仕方なく、といった顔で箸でとった卵焼きを冬の口に近づける。






ていうか何でこんなにシンとしてるの!!





すると冬は





「お前な、あーんとか言って食べさせられねーのかよ」





と、言い出した。





「は!!??そんなこと言えませんから。早く食べてくださいな!!」





「ちっ」





舌打ちした!!??





…え…。





「ちょっ、ちょっと待ったー!!」






冬の口に入る寸前に私はストップをかける。






「なんだよ…」





こ、これ!!





「箸!!箸だよ!!」





なんで私の箸で食べさせようとしてんの私!!





「あ」





「冬も気づかなかったの!!??あー、危なかったー」





「そんなに嫌がることかよ」





「嫌でしょ!!普通!!」





「は…。なにそれ。俺が嫌って??」





「そういう意味じゃないじゃん」






「じゃあ俺はいいんだ」





「そういう意味でもないっ」





「じゃあどういう意味で??」





「…。もういい!!早く箸貸してよ!!」





冬ってたまにしつこいんだよね。





私は冬から箸を借りてその箸でさっきと別の卵焼きを取る。





「てか全然飯くえねんだけど」





「黙って」





ご飯が進まないのは冬が原因でしょ!!





私は冬の口に卵焼きを入れる。





「はい、どう??これで満足ですか」





「ん…。いや、まだだ」





「は!!??まだ!!??」





もう…。





いいでしょ。





早くご飯食べさせてよ…。






「次は俺がする」





「…。もういいよ、自分で食べれる」






「箸貸せ」





聞いてないし。





誰が貸すかっての!!





私は自分のお弁当を食べる。





「貸さねーなら俺の使うことになるけど??」





あー!!もう!!






「わかりましたー!!」





わがまますぎでしょ!!






私は仕方なく、箸を差し出す。






「はい、梓ちゃん??」






うっざ!!





なんだかんだ言って私は冬に近づく。






あーもう。マジやってらんねーわ。





横髪を押さえて冬から卵焼きを貰う。





「はい、あーん」





なんて…。ほんと、あほらしい。





この人、頭大丈夫??





ってたまに思う。






のにテストで満点なんか取りやがって!!





「ありがと…。さ、箸返して」





冬はなにも言わず私に箸を渡す。





よし!!これで食べられる。





ていうか結構時間たったよね…??





これ、自由時間なくなるパターン??