君と恋した記憶~どんなに遠くても、君が好きだ~

「・・・・・・流也君。」

「?!はい。」


急に話しかけられたからびっくりした。

俺は、手に持っていたコーヒーを、テーブルの上に置いて、綾羽のお父さんの方を見た。


「綾羽の記憶障害のこと、知ってるか?」

「・・・・・・はい。全部、綾羽から聞きました。」

「そうか・・・・・・。綾羽はもうすぐ、記憶をすべて失ってしまう。」

「・・・・・・。」

「家族や友達、そして・・・・・・流也君のこともわからなくなる。」

「・・・・・・。」


綾羽はもうすでに、美緒と藤樹のことを忘れていた。


「最近はな、母さんのことを・・・・・・おばちゃん、誰?って聞いたこともあった。」

「え・・・・・・?!」


う、嘘だろ・・・・・・?!

自分のお母さんのことを、誰?って聞いたのか?!


「俺も、おじさん、誰?って聞かれたことがある。一回や二回じゃない。何回も聞かれたことがある。あいつの記憶は徐々に消えていってるんだ。」

「・・・・・・。」


自分の親を誰?って聞くんだ・・・・・・。

いつか俺も、君、誰?とか聞かれそうで怖かった。

綾羽は本当に、徐々に記憶を失っていってるんだ・・・・・・。