「それで、月日が経つごとに、記憶がどんどん薄れていって、怖かったの・・・・・・。」

「・・・・・・記憶が薄れるのが怖かったから・・・・・・俺のところに来たのか?」

「・・・・・・嫌だった?」

「別に・・・・・・お前、家族や友達に別れを告げたのか?」

「・・・・・・私ね、恋人がいたの。私が記憶をすべてなくしたら、恋人が悲しむと思って・・・・・・その人と別れて、こーたお兄ちゃんのところに来たの。」

「・・・・・・え・・・・・・。恋人と別れた?!」

「うん・・・・・・。」


こーたお兄ちゃん、怒ってるのかな・・・・・・?

流也と別れてまで、こーたお兄ちゃんのところに来ちゃったから・・・・・・。


「・・・・・・彼氏と別れて、俺のところまで来て・・・・・・辛くなかったのか?」

「・・・・・・辛かったけど、流也のことを忘れるほうがっ・・・・・・死ぬよりもっと、辛かったもん・・・・・・。」


流也のことを話すと、涙が止まらなくなる。


「・・・・・・流也?誰だ、それ・・・・・・。」

「・・・・・・私の恋人っ・・・・・・。私が記憶をなくしても、絶対に離れないって約束してくれたのにっ・・・・・・私、こーたお兄ちゃんのところに来ちゃった・・・・・・。」

「・・・・・・そっか・・・・・・。綾羽が決めたことなら、俺は何も言わない。流也って人と別れて辛いはずなのに、俺のところに来てくれて、ありがとう・・・・・・。」

「ううっ・・・・・・うわぁぁぁ・・・・・・ん。」