綺麗な声といえば何だろうか。うーん、綺麗な声、声。
弱いオツムで考えるけれど、やっぱり思い浮かばない。
「ねえ」
「え?あーなんでしょうか」
「自販機ってある?この辺に」
「えーと、入学生なんでよくわかんないです。すみません」
「うん、俺も入学生」
「じゃあ私、敬語いらないじゃないすか。言ってくださいよ」
「悪かったよ。で、自販機……あ、知らないのか」
「あ、私あれ持ってる。オレンジジュース。飲んでないやつ」
「えー俺、りんごジュース派なんだよね」
「まじかー私りんご嫌いなんだよね」
「まじかよ。俺はオレンジ嫌い。酸っぱくねあれ」
彼は昔、別に仲が良くもないクラスの男子、田頭くんに蜜柑の汁を目にかけられたことから苦手になったらしい。
それからというもの、田頭くんはクラスの人から「蜜柑畑」と呼ばれるようになったんだよな、と彼は言う。
なんで蜜柑畑なのだろうか。畑の右側にある「田」っていう漢字しか、田頭くんの要素が無いじゃないか。
「まあいいか、オレンジちょーだい」
「あ、うん。お納めください」
「さんきゅ。あ、式始まりそう」
「おお、早く飲んでくれ」
「んー」
そう言った彼は、私のオレンジジュースをズゴゴッという音を出しながら、ストローで吸い込んだ。
……あ、もう式なのか。すごく早かったなあ。
あのままぼっちだったら、きっとすごく長いって思ってたかもしれない。いや、思っていただろう。
そう考えると、この人にちょっと感謝かも。目の前でオレンジジュースを飲みほした彼に、深く礼をした。
「なに」
「なんでもない」
「つーかやっぱオレンジって不味いな」
「なぜ飲みほしたし」
弱いオツムで考えるけれど、やっぱり思い浮かばない。
「ねえ」
「え?あーなんでしょうか」
「自販機ってある?この辺に」
「えーと、入学生なんでよくわかんないです。すみません」
「うん、俺も入学生」
「じゃあ私、敬語いらないじゃないすか。言ってくださいよ」
「悪かったよ。で、自販機……あ、知らないのか」
「あ、私あれ持ってる。オレンジジュース。飲んでないやつ」
「えー俺、りんごジュース派なんだよね」
「まじかー私りんご嫌いなんだよね」
「まじかよ。俺はオレンジ嫌い。酸っぱくねあれ」
彼は昔、別に仲が良くもないクラスの男子、田頭くんに蜜柑の汁を目にかけられたことから苦手になったらしい。
それからというもの、田頭くんはクラスの人から「蜜柑畑」と呼ばれるようになったんだよな、と彼は言う。
なんで蜜柑畑なのだろうか。畑の右側にある「田」っていう漢字しか、田頭くんの要素が無いじゃないか。
「まあいいか、オレンジちょーだい」
「あ、うん。お納めください」
「さんきゅ。あ、式始まりそう」
「おお、早く飲んでくれ」
「んー」
そう言った彼は、私のオレンジジュースをズゴゴッという音を出しながら、ストローで吸い込んだ。
……あ、もう式なのか。すごく早かったなあ。
あのままぼっちだったら、きっとすごく長いって思ってたかもしれない。いや、思っていただろう。
そう考えると、この人にちょっと感謝かも。目の前でオレンジジュースを飲みほした彼に、深く礼をした。
「なに」
「なんでもない」
「つーかやっぱオレンジって不味いな」
「なぜ飲みほしたし」

