おばかさんのラブソング

……ああ、はい、そんな期待はしませんよ。


しません……しませ……しま……いや、しますよ!そりゃあしますよ、期待!


もしかしたら運命の出会いになるかもしれないじゃん、だから期待はしますよ、女の子だもん!


さっきまでのもやもやは何処へやら、私はぶつかってきた男の子の顔を見た。



「あ、ごめん」

「……あっ、いえいえ、こちらこそ」



びっくりした。息を引き取られるかと思った。


だってだって、別に超絶イケメンな人じゃなかったから!


え、え、えー……さっきの今でなんだから、普通は超イケメンでしょ、えー……。


がっかりした気持ちで彼を見つめていると、彼もまた見つめ返してきた。


私はそれにまたびっくりして、負けじと彼を見つめ返す。


そうすると彼もまあ見つめ返してくるもんで。


……いや、くるもんなのか?この人、不思議ちゃんなんじゃないか?


じっと見つめ合うこと、約一分。あ、なんかちょっとイケメンに見えてきた。


バレない程度に目を逸らしてみてもう一度彼の顔を見ると、あ、やっぱりイケメンってほどではない。



「……一人なの?」

「えっ、あっ、はい」



またびっくりしてしまった。だって、声が無駄に綺麗だったから。


オーケストラ入るのかなってくらい綺麗な声。小鳥みたいな。


いや、小鳥は大袈裟かな。うーん、じゃあなんだ、思い浮かばない。