俺様社長の飼い猫

一瞬驚いた紫音だったが、掴んでいる私の手をグッと引っ張る。

当然、私は体勢を崩し、紫音の胸の中へ。

「…ここにいれば、オレは必ず帰ってくるから」

そう優しく耳に囁いて、頭に触れるだけのキスを落とした。

赤くなる私をやっぱり可笑しそうに見ながら玄関に向う紫音。

私は、それを見送る。

「…いってくる」
「…いってらっしゃい」

そう言って、はにかむと、嬉しそうに紫音も微笑み、私の頭を撫でるとドアに手をかけた。

「…ぁ、これ」
「…ぇ…ぁ」

この家のカギも、私に渡した紫音。

「…そんなに信用されると、困ります」

消え入りそうな声で呟くと、紫音は笑った。

「スズは、悪い事出来そうにないから、心配してない」

そう言い捨てて、玄関を出て行った。