俺様社長の飼い猫

紫音に見惚れていると、ゆっくりと起き上がり、身支度を始めた。

「オレはこれから仕事だから、好きなようにしていろ。これ、渡しとくから」

「…えっ、でも」
紫音が差し出したのは、財布から取り出したブラックカード。

こんな大事な物を渡されて、動揺を隠せない。

すると、紫音は、私の頭を優しく撫でた。

その行動に、不覚にもドキッとする。
それと同時に、頬が赤くなっていく。

そんな私を見て、紫音は可笑しそうに笑う。

「そんな顔をするな。金の事は気にせず、好きに使えばいい。それとこれ。何か用があれば、いつでもここにかけてこい。

時間がないから、もう行くぞ」

身支度の整った紫音は、外へ行こうとする。

「…スズ?」

私は咄嗟に紫音のスーツの裾を握りしめていた。