「そんな顔しても、全然怖くない。…むしろ、可愛い顔だな」

そう言って、クスッと笑うと、もう一度私をギュッと抱き締めて、ベッドから起き上がった。

私もそれに続き、起き上がり、紫音の後を追いかけた。

紫音は、着々と身支度を進めていく。

「…紫音さん」
「…ん?」

「朝食は…」
「…あぁ、朝食は食べないんだ。…コーヒーだけ頼んでもいいか?」

一瞬曇った顔になった私。…紫音に何でもいいからしてあげたくて。

助けてもらうのは、いつも自分ばかり。

でも、何かを察したのか、紫音は、コーヒーを頼んでくれた。

ただそれだけの事なのに、パァッと明るい顔になり、私はそそくさとキッチンに向かう。

それを可笑しそうに、紫音は見つめていた。

…でも、困った。