俺様社長の飼い猫

ここは紫音のマンションだ。見ず知らずの私が勝手に出るわけにはいかない。

それでもなかなかチャイムが鳴り止まない。

…意を決して、出ようとしたところで、鳴り止んだ。

ホッと溜息をついたのも束の間。

今度はドアを叩く音が聞こえてきた。

…ここは、オートロックで、家主が自動ドアを開けない限り開かない。

開くとすれば、本人が出入りするときだけのはずだ。

怖くなった私は、玄関の前で恐怖に震えた。

「スズさん。…安堂です」
「…」

…安堂?

「東郷社長の秘書をしてる、安堂です」
「…ぁ」

「社長から、預かり物です。開けて下さい」

その言葉に驚き、私は慌ててドアのカギを開け、ドアを開けた。