家に着き
夕食を済ませ
約束の時間が来るまで私はベッドで仰向けになり、天井を眺めながら色々な事を考えていた。

難しくて誰もやった事がない…
だけど海に言わせれば難しい事じゃない…
儀式を行う場所は海辺…

全く検討がつかない…
そもそも海の言う簡単は簡単じゃないのよね…

「50mを7秒で走るの 簡単」
「リフティング100回 簡単」
「バク転なんて寝起きで出来る 簡単」
華の女子高生なのに…
スーパーサ〇ヤ人か!
等と1人でツッコんだりしている内に
約束の時間が近づいて来たので
私は支度をし待ち合わせの海辺に向かった。




「やあ。待ちわびたよソララギくん。」

「海…。一部の人にしか分からないボケはやめて。」
と私は冷たくあしらった。

「いいじゃんいいじゃん!
その一部の人達は大爆笑かもしれないよ!
そもそも笑いって言うのは…」

「あ~!分かった分かった。そうだね!」
と海の話を遮って私は言う。
このまま海にお笑いについて語らせたら、延々話した挙げ句、最終的には宇宙人とかの話にまで膨らませられるので、それを回避する為に。

「そうだね!今日のメインディッシュはソラの為に妖精さんを召喚する事だもんね♪」

「召喚…メインディッシュって…
妖精さんを食べるつもり?」
と私が揶揄して言うと

「えっ!?妖精を食べるの!?
ソラも残酷な事言うね…」

また面倒くさい事を…
このまま会話を続けるのは面倒だと思った私は会話の流れを代える為に、海に一撃必殺をお見舞いした。
「海って本当かわいいよね♪」

「っっっ!」

海は可愛いと言われると
照れて会話を必ず一度リセットする。

「もぉ~♪やだな~♪
で、なんの話してたっけ?」

いや~。馬鹿は扱い易くていい。
でも海が可愛いって言うのも嘘じゃないけど…

「妖精さんを呼び出す儀式をするんでしょ?
そろそろその儀式のやり方を教えてよ。
私、これでも結構今不安なんだからね。
ただのおまじないとかならまだしも
妖精さんを呼び出す儀式なんて…」

「ああ~!そうだったね♪
ちょうど周りに人もいないみたいだし
サクッとやっちゃおうか♪」

「サクッとって…難しいんでしょ?」

そう聞いた私の顔を真剣な眼差しで見つめながら海は言った。

「儀式のやり方…
それは至って簡単。
満月の夜、海辺にたたずみ。
心を込めて…」

「心を込めて…?」
緊張した面持ちで私は海の台詞を繰り返した


「心を込めて!
好きな人の名前を月に叫ぶ!」

ズコーーーーー!!!
私は私の全力で吉本〇喜劇をも凌駕するコケっぷりを披露した。