冷蔵庫サイドストーリー

「お前の時間を買う」

「買う?」


シグマは丸い目をさらに丸くした。

常にのほほんとしてるけど、驚く事はあるんだな、なんて思っていたら、すぐにそれは間違いだったと気付く。


「俺、買われるの?!」


驚きというよりも、それはワクワク興奮した子供の目、そのものだった。

期待に満ちたその瞳を見ると、僕にまでその浮いた気持ちが伝染してきそうだ。


「ああ。お前がいいのなら、シグマ」


こうして僕はシグマを買った。