冷蔵庫サイドストーリー

「そっかぁ。俺は多分貧乏なんだ」


シグマは笑顔を少しも曇らせることなく、明るく言った。


「なら来ないか? うちに」


キープのはずだったことを忘れた訳じゃない。

貧乏だとか堂々と言われて同情したって訳でもない。


「金は……出すから」


何だろう。強いて言えば笑顔に魅せられた、というか。

何の下心も見えないこのアホ丸出しの、食いしん坊の、天然の、平和そうな笑顔には価値がある、そう思えた。