冷蔵庫サイドストーリー

母がいなくなってから誰も来なくなった、運動会も、授業参観も、佐田が来ていた(僕が頼んだからだが)


遺体を見た訳ではないから、実感が湧かないのだろうか。

ある日突然父を失った悲しみよりも、これから佐田を失うかもしれない方が、僕にとっては恐怖だった。


「あれ?出ない」


シグマが自身の両手を見つめて呟いた。


「出ない?」

「うん。さっきは出たんだけど」


シグマは申し訳なさそうな顔で、テーブルを挟んで向かいに立つ僕を見上げた。