冷蔵庫サイドストーリー

「冷蔵庫の中に、何が入っているか聞いたんだが……」


難しい顔をしたりしてウンウン言っていたのは、透視していたからではなかったのか?


「冷蔵庫の中にはねぇ……」


シグマにパァっと笑顔が広がり、僕の期待も高まる。


「きっと、美味しいものがいっぱい入ってる」

「……え?」


何を想像したのか、シグマの目はキラキラと輝きを増す。


同時に僕のテンションは底辺まで下がる。


「冷蔵庫って、いーよねー」


シグマはまだ何かに想いを馳せるように、うっとりした瞳で宙を眺め、口元をゆるませた。