父親が生まれてすぐに他界してしまった、柳瀬 巧の家は、母が遅くまで働きつめ、その負担を軽くするため、巧が家事全般を受け持っていた。
弟、遥の好物であるオムライスを作り終えると、皿にのせる。
「...遥、飯、出来たぞ」
「ぅわあ、美味しそう♪僕、巧兄ちゃんのオムライス大好き」
自分の分も皿に乗せ、エプロンを脱ぐと、席についた。
オムライスにケチャップをつけ、食べ始める。
「...遥、頬にケチャップついてる」
「え、うそ!?」
そう云い、自分の頬をごしごし擦る、遥。
「...拭いてやるから、動くな」
遥の頬に手を添えると、巧はケチャップを舐めて拭いた。
「た、たたたっ巧兄ちゃん!?」
顔を真っ赤にし、狼狽えながらも、巧の唇を見つめてくる遥。
「...何?頬じゃなくて、唇のがよかった?」
冗談半分で言うと、遥は俯き、云った。
「...そうだ...って云ったら、どう、するの?」
巧は身をのりだし、遥の、唇にキスをした。
「...これで満足?」
聞くと、遥は、巧の服の袖を引っ張った。
「...誘ってんの?」
遥は、震えながらも頷いた。
それを見ると、巧は、遥の手を引き、ソファーヘ押し倒した。