きっと君を探すから〜kiyoto〜



工場とアパートを行き来する生活が数日経って、ようやく体も慣れた頃


一緒に休憩をしていたおじさんが1本吸いに行かないか?と胸ポケットからたばこを取り出した。




たばこは春菜先生が亡くなってからスッパリ止めてしまったのだけれども、断るのも面倒で、貰う事にした。



「以前は休憩室で吸えたんだけどな、分煙になってから喫煙者は肩身が狭いよ」

そんな文句を言いながら工場を出て、5分ほど歩いた先に荒屋が見えてきた。



「あの荒屋の外に灰皿が用意してあるんだ」

おじさんが指を差すので頷いた。


「5分近くも歩かなきゃいけないなんて面倒じゃないんですか?」

「まあ、面倒だけどな」

おじさんは笑ながら話す。


荒屋の隣には大きな土地がガランと空いていてそれがとても妙で周りを見渡していると


「昔はそこに小さな工事があったんだけど、今の場所に立て直したんだ。」

おじさんの説明を聞きながら、灰皿の所でたばこに火を付けると


久しぶりのたばこはやけに臭くて苦くて、美味しさのカケラさえ感じられない。


よく、こんな物を昔の自分は吸っていたなと苦笑いさえこみ上げて来た。