そんな時だった


中退した大学の友人から1本の電話がかかってきたのは…。





「栄二、お前も行くだろ?」

「…どこに?」

「どこにって…山本先生の1周忌だよ」

そう言われて

電話機の上に貼られたカレンダーを見て、驚いた。


山本先生が亡くなってもう、そんなに時は流れていたのかと。


俺はまだ

あの時のまま

俺だけの時間が止まってしまっていたかのように感じていた。



1年前亡くなった山本春菜先生

彼女こそ

俺が今まで生きてきた中で1番、大切で

傷つけた女性。





「俺は行かないよ」

「なんだよ。冷たい奴だな。」


他人にどう、思われてもいい。


俺は彼女に、会いに行くことなんか許されない。


これは俺の罪でもあり

罰でもあるんだから…。