夏休みも終わる頃


清人の鈴への想いは募る一方だった。


それは突然、現れた変化なんかではないだろう。


吹き抜ける風のように自然に

鳥のさえずりのように優しく

陽の長さのようにゆったりと

ゆっくりと育まれていたに違いない。



秘密基地に行くと必ず「おかえりなさい」と出迎えてくれるのが嬉しかった。


おままごとは嫌いだけれど

そんな風に出迎えられてしまったら

まだ成長段階の男でも

それなりの喜びを感じてしまう。


今日は母ちゃんに頼んで、メレンゲという甘い砂糖菓子を作ってもらった。

いつもいつも手土産がきゅうりや枝豆なんかじゃあ、さすがに清人自身も収穫するのが面倒になっている。