「きよちゃん、きよちゃん

またこんなとこで寝て…

この間、体中を虫に刺されたばかりでしょ?」


大きな木の影の下で目を冷ますと、肩までの黒髪の鈴という少女が俺を覗きこんでいた。


「おう、鈴か」


(大体、いつもこんな感じで、俺の意思と関係なく、「きよと」と呼ばれるこの少年が、喋り行動する。


まるで俺の意識だけが、この少年の体に入り込んでしまったように

この少年を通して

俺はいつも世界を見ていた。



これは夢なんだ。

そう気付いたのは

この夢を見始めて3度めくらいのころからだろう…。