本格的に梅雨入りした頃
清人は小さな風邪をひいた。
軽い咳だ。
すぐに良くなる。
そんなふうに考えて誰も心配もしなかったし、医者にも行かなかったけれど
大抵の風邪ならいつもすぐに治るのに
この度々でる咳はしつこく、清人にまとわりついたままだった。
「一度お医者様に診てもらいましょう」
母に言われて仕方なく病院に行っても夏風邪は長引きますよと言われ処方された薬を飲んでいた。
けれど、症状は一向に良くならず
息苦しささえ覚え始めて
清人はとうとう夏の最中には床に伏してしまった。
「おいおい、夏風邪なんかに負けちまってお前らしくないな。早く治せ」
清人を心配して栄が学校帰りに見舞いに来る。
清人自身もこの息苦しささえ無ければ元気なものだった。
「俺だって暇だよ、早く走り回りてーし、秘密基地の材料だって揃えたい」
ぶつぶつ文句を言う清人に麦茶を持ってきた母もため息をつく。
「清人も登下校で歩かなくなったからって体力を失いすぎよ。早く治して陸上でもやりなさい」
「そうだな、そうしたら、栄また勝負しような!」
「当たり前だろ」


