夜、母と父が隣の部屋で話しをしているのが聞こえて来た。
「お腹がつらいのか?」
「ええ、でも…まだそんな間隔でもないし平気よ。」
「元気に、生きて産まれてくれる事を信じような。」
「平気よ、今朝だって元気にお腹を蹴飛ばしたもの」
2人の会話を聞いていて、清人は鈴の事を思い出していた。
まだ医療制度が発達していなく
赤ちゃんが無事に産まれてくる確率は100%と言い切れなかった。
実際、鈴は本当なら6人兄妹の末子の予定だったけど
先の兄や姉はみな、死産だったらしいことを母がお腹に命を宿した時に、清人は聞かされた。
その時清人は心から赤ちゃんの無事を祈ったんだ。


