「鈴、母ちゃんが大福を作ってくれたぞ!今日のオヤツが豪華なのは卒業式だったからかな」なんて笑いながら入ってくると
「うちのお母さんも珍しくソーダー水なんか買ってくれたわ」と1本くれた。
「これなら、毎日卒業式したいな」なんて笑うと、鈴もいつもの笑顔を見せる。
でも、突然、幼い頃の話なんかをしだして鈴の様子がなんだかいつもと違う気がする。
卒業式が終わったばかりで少しセンチメンタルな気分なのだろうか…。
それでも、少し愁を帯びたその横顔がなんだか切なくて
清人は、商店街の電気屋さんで見たテレビの歌番組で聞いた曲を口ずさんだ。
今、どこの家庭でも流れている話題の卒業ソングだ。
それを聞きながら鈴がハミングをし始めたけれど、盛り上がりの1番いいところで
鈴の声が震えだした。
「鈴…?小学校にはもう行けないけれど…中学校ではまた、同じ仲間と一緒だ。
寂しがることなんかないさ」
笑いかけた清人に、鈴は首を横に振り、声を震わせ「違うの…」と何度も繰り返し呟いた。


