「栄二、これ亡くなったじいさんの形見たから…


あんた持ってなさい」


婆ちゃんから受け取ったのは

もう、錆びてしまっているが


小指の爪くらいのサイズの針金で手作りされた小さな鍵だった。



「なんの鍵?じいちゃん何に使ってたの?」

「さあ、私はよくわかんないんだけどね…

それはもともとは、あなたの祖父さんが友達から預かった大切な物らしいわよ」


「ふぅん。」

こんな物を大切にして


なんの得があるのか分からないけど


とりあえず受け取って


自分の机の引き出しの中に入れたまま


その存在なんかはすぐに忘れてしまっていた。