「美雨ちゃんは何も心配しなくていいから。ごめん。苦しい思いをさせてしまって。朔には今日ちゃんと話そうと思ってたんだけど…」


ギュッて拳を握りしめる碧くんは、あたしのためにきっと我慢してるんだ。

「ごめんね」

碧くんの拳をそっと両手で包み込んだ。


ただ、恋をしただけなのに。

こんなに人を傷つけてしまうなんて思わなかった。

恋が叶えばただ楽しくて幸せ…って単純なものではないんだ。

叶って嬉しいはずなのに、朔を傷つけたことへの苦しさと、それでも碧くんを諦められない罪悪感が辛かった。