10分程たったとこで声が聞こえてきた。


「隆ちゃーん!!」

由佳だ。


雨なのに傘を抱えてさしていない。
由佳の事だ、傘を持ってることさえ忘れているに違いない。


由佳が僕の目の前に来て濡れた身体を抱きしめてくれた。

「由佳…」

「隆ちゃん…」

由佳の温かくて優しい体温が伝わってくる。

「私が、いるから…だから大丈夫…隆ちゃん…」

顔が見えないけど由佳は泣いていた。
自分の事じゃないのに泣いてくれる優しい子だ。