「なんか、真田くん嬉しそう。」
からかうように言うと、真田くんは笑った。
「西海さんこそ。ニヤけてますよ？」
自分のほっぺをツンツンとつつき、からかいかえしてきた。
「誰かに朝ごはん、作ってもらうとか、久しぶりだもんなぁ。」
何気につぶやいた一言で真田くんの表情が揺れた。
あ、気ぃ遣ってる？？
「あ、お母さん海外でデザイナーやっててね！
お父さんもつい最近そっちに行っちゃったの！
お兄ちゃんは高校の理事長のおばちゃんちに住んでてね、私のクラスの副担なんだ。
うちの家族騒がしくって…。」
家にいないとか複雑なのかと思われそうで必死に喋ってた。
やっと静かになったなー、そう言おうと思ったら、真田くんが口を開いた。
「好きなんですね…。家族のこと。」
「うるさいだけだけどね。」
私は照れて、真田くんの顔を見れなかった。
だから、真田くんの表情がもっと暗くなっていたことに全然気づかなかった。
