イケメン拾ったんですけども。

――――ガッシャーーン。


「え!?」





予想にもなかった言葉に手が滑ってお皿が落ちて割れた。

ごめん、と真田くんが手伝いに来てくれる。

私も慌てて破片を集める。



記憶喪失…?真田くんが…?


ドラマであるやつだ…。現実であるのなんか初めてで戸惑う。


隣でお皿の破片を拾いながら真田くんが続ける。


「ホントは、病院にいたんだけど…。なんか……嫌になっちゃって。」


嫌になった。という表現はなんだか曖昧で、喋りたくないのだろう。



「出てきちゃったんだよねー。」


そう言った真田くんの声はなんだか妙に明るかった。

嫌なことを覆うように。


何も言えない私をかばうように。




「そう…なんだ。」


必死に絞り出した言葉はこれだけ。


自分の無力さに泣きそうになる。



「今、泊まるとこがなくて…。野宿してたんだ。」



家がない。



その言葉が心に入ってきた直後私は、とんでもないことを口にしていた。




なんとか、力になりたかった。



ただそれだった。