精一杯の背伸びを





「で、どう?」



 私はテーブルに両手をついて身を乗り出した。



「まぁ、可能性は高いんじゃないか?」



「本当に!?」



「そう言って欲しかったくせに。水野の気持ちに気づいていて、その数々の行動は仁がお前に好意を持っている、もしくは」



 榊田君はそこで言葉を止めて私をじっと見つめた。



「何?もしくはの続き」



 榊田君の話し方はいつものことながら落ち着いていて、裁判から判決を言い渡される被告人の気分だ。


 私も榊田君をじっと見つめ、彼の口が開くのを待った。



「……もしくは仁がお前を嫌っていて、傷つけてやろうと故意に気があるふりをした」



「な~んだ。それはない。絶対ない。良かった!やっぱり榊田君から見ても可能性大か!」



 私は緊張が解けて身体をソファーに投げ出した。




「水野。お前は俺が苦痛を受けている間、ずいぶん良い思いをしたみたいじゃないか?」



 榊田君は恨み辛みが凝縮されたような声色で言った。



「私に罪はないわ。それにしっかり手伝ってるじゃない?機嫌直してよ。あっ!そうだ。榊田君にとって良い話があった!」



 私はぽんっと手を合わせた。



「はぁ?俺はお前ほど単純じゃないぞ」



「あのね。小夜ちゃんが榊田君はとっても優しくて紳士的な人だって!」



 とってもを強調しながら、再び榊田君のほうへ身を乗り出した。



「小夜ちゃんが、夜行バスで具合悪くなって介抱したんでしょ?」