精一杯の背伸びを





 けど。


 仁くんが私の作ったご飯を食べておいしいと言ってくれる。


 そんな些細な言葉を私は喜ぶのだろう。


 ロマンチックな言葉じゃないけど、私の中では十分過ぎるほど嬉しい言葉だ。


 朔ちゃんは、だいたい、と言葉を続けた。



「フェミニストなら榊田を止めるでしょ?広也はただ固まってるだけだった。あれでフェミニストは語れない」



「私たちだって固まってたじゃない。榊田君に対抗するためには小春ちゃんじゃないと」



「あ~そうね。小春には榊田は甘い」



 雲行きが怪しくなってきたが、榊田君を弁護しようと口を開いた。



「榊田君は誰にでも優しいよ。ただ、ほら自分に害為す人には容赦ないだけで」



「そういえば榊田君は『目には歯を、歯には牙』って言われてたな」



 榊田君と小夜ちゃんは同郷で二人の通う高校が結構近かったらしい。
けど。



「互いに面識はなかったんじゃないの?」



 私のこの疑問には朔ちゃんが、「察しなさいよ」と呆れたように言った。



「小夜が通ってたのは女子高だし、近くの高校にあの容姿がいたら噂になるに決まってるでしょ?」



「あっ!なるほど」



「誇張されたものだと思ってたけど容姿も毒舌も噂通りで、榊田君に会えた時は感動しちゃった。あっ…でも毒舌かもしれないけど優しい人だと思うよ」