精一杯の背伸びを

















 朔ちゃんたちと会う時はたいてい、自宅の最寄り駅が待ち合わせ場所になっている。


 アルバイト先もこの駅の近くだし、たくさんのお店があるから待ち合わせには最適なのだ。


 買い物という名目で集まったが実際は女三人で話が盛り上がり、場所を変えつつ、食べたり話したりと口を酷使するのが常だ。


 そして明日から一週間は毎日朝から晩までアルバイトだと言えば余計に力が入る。


 二週間近くアルバイトを休むからとぎっしり詰め込んだのに加え、榊田君の授業も肩代わりするから相当忙しくなる。


 この迷惑料は私の話に付き合ってもらうことで返してもらうことにしよう。



「で、榊田にメールはしたの?なんだって?」



 朔ちゃんが紅茶をスプーンでかき混ぜながら聞いてきた。



「『わかった』って」



「そんだけ?」



「榊田君のメールなんていつもそんなじゃない?」



「彼女に対して、もう少し気遣いみせてもね?小夜もそう思わない?」



 小夜ちゃんはどこぞかの社長の娘さんで、それらしい雰囲気が見るからにある。


 落ち着いていて、趣味はチェスと茶道だという。


 比べては失礼だが、私が部活動でちょっとかじった事のあるレベルとはかけ離れている。


 才女のような小夜ちゃんの唯一の弱点は運動神経が全くないことだ。