精一杯の背伸びを




「何言ってるの。高校時代は私派と都派で学校が二分されてたんだから」



 私の両親と仁くんのお母さんである都さんはこの町の出身で、昔からの友人だったと聞いていたが、そんな話は聞いたこともなかった。



「で、どっちが勝ったの?」



 私は興味津々で聞いた。



「引き分け」



「お父さんはお母さん派だったの?」



 それが地雷だったらしく、お母さんは忌々しげに顔を歪めた。



「都派だったの。あの人が私に入れてたら私が勝ってたのに。今思い出しただけで腹が立つ!!…でも結局その後、私が負けたけどね」


「そうなの?」



「都は高校卒業した後、東京に出てあんな良い男を捕まえて戻ってきたのよ。もう完敗でしょ」
その良い男というのは、もちろん仁くんのお父さんだ。



「お父さんがかわいそうだよ。でもおじさんすごく格好良かったね。モデルさんみたいだった」



「都会でもそうそう拝めない良い男をこんな田舎町に連れて帰ってきたのよ。もう私を含め、女性陣は地団太を踏んで涙を流したわ」



 おじさんを思い浮かべる。


 壮絶な取り合いが起こっても不思議ではない。