精一杯の背伸びを





「ところで大学は楽しい?」



 突然そんなことを聞かれ、きょとんとする。



「何?いまさら」



「で、どうなの?」



 再度聞かれ、私はとりあえず答える。



「電話でも話したでしょ?友達もできて楽しいって」



「仁君の話ばかりで、どんな生活送っているかなんてお母さん知らないわ」



 すまし顔で言われ、私は頬を膨らませて反論した。



「お母さんだって仁くんのことばかり聞いてきたじゃない?ミーハーなんだから」



「そりゃ~気になるわよ。昔から格好良かったもの。さらに男っぷりあげちゃって。さすがは私がライバルだと認めた女の息子だわ」


「ライバルって?」



 私は話しながらも、野菜を切っていく。


 もう手馴れたものだ。



「もちろん、美少女頂上決戦よ」



 美少女?


 あえて、突っ込まなかった。



「それなら、おばさんの勝ちだったでしょ?」



「小春、私が包丁持ってるの知ってる?」



 そう言いながら包丁をギラリと輝かせた。



「だって、本当のことでしょ」



 今度は私がすまし顔で返す。