翌朝、五人での食事は気まずさを感じないように広君が始終話していた。
榊田君は私と目を合わせようともしない。
謝るタイミングを掴めないまま食事が終わる。
部屋に戻る時に三人が気を利かせてくれて榊田君と二人になった。
私は、すかさず頭を下げた。
「ごめんなさい」
頭を下げたまま榊田君の言葉を待ったが、彼は何も言わずに私を追い越していった。
自分がしたことを考えれば当然だ。
私のことなんて友達とは、もう思っていないかもしれない。
いくら優しい彼でも私の勝手さに愛想も尽きただろう。
今まで見放されなかったことに感謝するべきぐらいだ。
でも。
そうとわかっていても、やっぱり落ち込んでしまう。
チェックアウトしたら、そのまま実家に帰る。
私がいなくなれば榊田君も私の心配なんてせずに楽しんでくれるだろうか?
最終日くらいは、楽しんで欲しい。
台無しにした私が、そんなことを思うのはおこがましいけど。
外を見ると、雪が少し降っている。
同じ県だけど実家は、もっと山奥の豪雪地帯だ。
お母さんからのメールで、吹雪いていると言っていた。