精一杯の背伸びを




 ごまかすように、水に口をつける。



「ごめん」



「あのね。小春ちゃん」



 広君は私に優しく語りかける。



「榊田君たちから聞いたでしょ?私、本当は来たくなかったの。それを榊田君が」



 それ以上言葉が出なかった。


 彼のせいだけじゃない。


 そんなのはわかっていた。


 だけど、彼のことが許せない。


 仁くんの名前を平然と口にした彼が許せない。


 彼の身勝手さに振り回されたのは事実だ。



「詳しくは聞いてないんだ。ただ俊が小春ちゃん叩いたってことぐらい」



 私は俯いて、じっと揺れる水を見ていた。